ファクタリングは、資金繰りの改善や迅速な現金化を実現するための有効な手段として、多くの事業者に利用されています。しかし、ファクタリングを初めて利用する際には、税務処理についての理解が不可欠です。ファクタリングに伴う税務上の注意点を把握し、適切な対応を行うことで、予期しない税務リスクを回避することができます。
今回は、ファクタリングを利用した場合、税務処理がどのように変わるのかを説明します。
ファクタリングで税務処理は何が変わる?
消費税
2社間ファクタリングおよび3社間ファクタリングで得た売掛金の譲渡代金や手数料は、非課税取引とされます。これは、ファクタリングによる売掛金譲渡が「有価証券等の譲渡」と見なされ、消費税の対象外となるためです。したがって、ファクタリング手数料に消費税を加算する業者は法律に反しているため、そのような悪徳業者は利用しないようにしましょう。
法人税・所得税
ファクタリングを利用する際、契約から現金入金までに決算期末を迎える場合、売上に基づいて税金が課されます。具体的には、現金が手元に入る前に、法人は法人税を、個人事業主は所得税および個人事業税を支払う必要があります。これを考慮して、適切な資金計画を立てることが重要です。
(参考)節税効果と会計処理方法
ファクタリングを利用することで、売掛金から手数料を差し引いた資金を調達することができます。ファクタリングの手数料は、売上債権売却損として計上できるため利益の圧縮となり、節税効果があります。しかし、資産の保有やサービスの利用といったプラスの経費ではないため、ファクタリングによる節税は、他の対策ができない場合や、急いで利益を圧縮したい場合に限るのがいいでしょう。
※ファクタリングの会計処理については以下の記事で解説しています。
まとめ
ファクタリングを利用することで、税務処理の手間や負担が大きくなることはありません。ファクタリングは、企業の資金調達において非常に有効な手段となり得ますが、その利用にあたっては税務処理や消費税、法人税・所得税の影響を正しく理解することが重要です。