補助金担保融資について
補助金担保融資とは
事業者にとって、資金繰りは事業運営のための重要基盤です。特に中小企業やスタートアップ企業は、資金が途絶えることは事業の存続に影響を及ぼします。いろいろな資金調達方法がある中の一つとして、補助金の活用をすることがあります。補助金は国や地方自治体、公益財団から提供される返済不要の助成金で、通常は補助事業の実施結果を報告後に支払われます。
しかし、補助金の種類にもよりますが、補助金の申請から実際に入金されるまでに数年を要する場合もあり、この期間の資金繰りは事業者にとって大きな課題となります。また、補助金の承認を受けても、一部の事業者は定められた期日までに実績報告書など(たとえば物品の購入証明書)を提出しなければ補助金を受け取れない場合があります。そのため、補助金が承認されたとしても、実際に申請した物を購入できない事業者が発生してしまいます。
この課題を解決する手段の一つが、「補助金担保融資」です。この融資は、補助金の申請が承認されても実際の支払いまでの間に生じる資金不足を補うために利用されます。
本記事では、補助金担保融資の概要やメリットおよびデメリットについて解説します。
補助金担保融資の概要
補助金担保融資は、事業者が補助金を活用して実施する事業に対する資金調達を支援する仕組みです。この方法では、国や自治体が企業に対して補助金を交付することを決定し、その後補助金決定通知書が発行されます。この補助金決定通知書を電子記録債権として担保にすることで、事業者は融資を受けることができるようになります。
提供する金融機関によって条件は異なりますが、一般的な補助金担保融資の概要は以下の通りです。
利用者 | 事業を営む法人または個人、かつ補助金(助成金)を利用する方 |
使途 | 補助金を受ける事業に要する運転資金・設備資金 |
担保 | 電子記録債権 ※補助金交付決定通知書(補助金交付額)を電子記録債権として登録し、譲渡担保設定する。 |
利用期間 | 補助金を受領する日まで |
返済方法 | 補助金支給まで:毎月利息を支払う 補助金支給後 :補助金で元金を一括返済する |
補助金担保融資のメリット・デメリット
メリット
- 資金繰りが安定する
補助金が支給されるまでの間、資金繰りを安定させることができます。 - 支払いの負担が少ない
補助金入金まで利息のみ支払いのため、毎月の支払額が抑えられます。補助金が受給後は、その補助金で完済することができます。 - 自己負担しなければいけない資金の確保ができる
補助金申請が承認された場合でも、補助金が実際に支給される前に、申請した費用の支出は自己負担する必要があります。この自己負担が厳しい場合でも、補助金担保融資の利用により不足資金を補えるため、補助金の支給を受ける体制を整えることができます。
デメリット
- 利息を支払う必要がある
補助金が支給されるまでの間、融資に対する利息を支払う必要があるため、コストが発生します。 - 手続きの手間がかかる
融資を受けるためには複数の書類提出や審査が必要となるため、手続きの手間が発生します。
まとめ
補助金担保融資は、補助金受給までの資金繰りに効果的な手段です。資金不足を防ぎ、事業運営を安定させるために積極的に活用することをおすすめします。今後の事業を成功させるためには、適切な情報収集と計画的な資金管理が必要です。金融機関によって条件が異なるため、自社の状況に最適な金融機関を総合的に判断して選ぶことが重要です。融資を受けた後も適切な資金管理を続け、今後の事業成功につなげていきましょう。