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売掛金と未収入金は何が違う?会計で混同しやすい勘定科目の違いを詳しく解説

2024年8月20日

売掛金と未収金の違い_きくじろう

誠実な企業運営には正確な経理業務が不可欠です。そんな中、会社の財務を整理する際に「売掛金」と「未収入金」という項目を目にすることが多いと思います。この「売掛金」と「未収入金」の違いを正確に理解している人はどれほどいるでしょうか。

この記事では、売掛金と未収金の違いについて詳しく解説します。

売掛金について

売掛金とは

売掛金とは、企業が営業活動(製品の卸売、商品やサービスの提供)を行い、その代金の支払いを後日受けることに同意した際に発生する未回収の金額です。

売掛金となる例

  • 販売目的の用途で仕入れをしたものを販売した場合
  • 飲食店で常連客が食事代を「ツケ払い」にした場合

いずれの場合も、商品やサービスを提供してから代金を後日受け取ります。
企業間取引では、現金決済の手間を省き、ミスを防ぐために、一定期間の売上をまとめて請求し、後日回収するのが一般的です。これを「掛取引」または「信用取引」と呼びます。この方法により、取引の効率化や購入量増加による値引きといったメリットが得られます。
しかし、売掛金は取引先の倒産などで回収が困難になる場合もあるため、取引先の財政状況を把握し、信頼できる会社と取引を行うことが重要です。

売掛金の仕訳方法

例:会社の商品を1月に100,000円で販売し、7月に代金の支払いをした場合

  • 商品販売時
売掛金100,000円売上100,000円
  • 代金支払時
普通預金100,000円売掛金100,000円

未収入金について

未収入金とは

未収入金(=未収金)とは、企業が営業活動以外(固定資産の売却や不動産投資の収入など)を行い、その代金を後日受け取ることができる未回収の金額です。未収入金は1年以内に現金化できる資産のことを言い、1年を超えて現金を受け取る場合には長期未収入金となります。

未収入金となる例

  • 販売目的以外の用途で仕入れをしたもの(会社の備品や設備など)を売却した場合
  • オフィスの空スペースを貸出して、家賃が発生した場合
    ※不動産賃料収入が企業の主要事業である場合は、売掛金として扱われます
  • 取引先の不手際等により、損害賠償請求をした場合
  • 買取型ファクタリングを利用して、売掛金を売却した場合

未収入金の仕訳方法

例:不要になった会社の備品を1月に100,000円で売却し、7月に代金の支払いをした場合

  • 商品販売時
未収入金100,000円備品100,000円
  • 代金支払時
普通預金100,000円未収入金100,000円

売掛金と未収金の共通点と違い

売掛金と未収入金の共通点

売掛金と未収金はいずれも「まだ受け取っていないお金」として企業の資産に分類される勘定科目です。どちらも将来的に支払いが約束されているため、発生時には「資産」として貸借対照表の借方に計上されます。

売掛金と未収入金の違い

売掛金と未収入金の主な違いは、未回収の代金が会社の営業活動から発生しているか、営業活動以外から発生しているかという点です。売掛金は営業活動に関連し、未収入金は営業活動以外の取引から生じます。それに伴い、仕訳の際には、売掛金の場合は「売上」などの収益科目が使用され、未収入金の場合は該当する収益科目(例:備品)を設定します。

また、売掛金には時効があり、2017年5月26日の民法改正により時効期間が変更されました。改正前に発生した売掛金には旧民法が適用されるため、注意が必要です。

  • 民法改正による売掛金時効期間の変更内容
2020年3月31日以前の売掛金2020年4月1日以降の売掛金
時効期間宿泊料金や飲食代金・・・1年
商品代金や弁護士報酬・・・2年
建築代金や診療報酬・・・3年
その他の売掛金・・・5年
5年(または10年)

まとめ

売掛金と未収金はいずれも「金銭を受け取る権利」を示しますが、対象となる債権や仕訳の方法には違いがあります。これらの違いを正確に理解し、適切に処理することは、企業の決算書や確定申告書に正確な結果を反映させるために重要です。経理業務に携わる方や個人事業主は、勘定科目の性質や違いを理解し、会計処理において混同しないようにしましょう。

  • この記事を書いた人
きくいちFP事務所編集部

小さな会社の資金調達 編集部

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