売掛債権担保融資（ABL）とファクタリングは別物！融資はNGでもファクタリングならOK？

資金調達を考える経営者は「売掛債権担保融資」や「ファクタリング」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。これらはどちらも売掛債権を活用した資金調達方法ですが、異なる性質を持っています。
今回は、売掛債権担保融資とファクタリングの特徴や違いについて解説します。

売掛債権担保融資（ABL）とファクタリングについて

売掛債権担保融資（ABL）とは

売掛債権担保融資（Asset Based Lending, ABL）は、企業が売掛債権（売掛金）を担保にして融資を受ける方法です。審査が厳しく、融資を受けるまでに時間がかかりますが、低金利で資金調達ができることが特徴です。
ただし、売掛債権を担保にすることで、その所有権が金融機関へ移るため、他の手段で売掛債権を資金化することができなくなる点には注意が必要です。

※売掛債権担保融資については、以下の記事で解説しています。

ファクタリングとは

ファクタリングは、売掛債権（売掛金）を売却することで資金を調達する方法です。
借入ではないため信用情報に影響されず、最短即日で資金調達ができる点が特徴であり、行政（経済産業省など）は新しい資金調達方法として推奨しています。

※ファクタリングについては、以下の記事で解説しています。

売掛債権担保融資（ABL）とファクタリングの違い

比較表

売掛債権担保融資（ABL）とファクタリングは以下の表のような違いがあります。

審査の難易度

売掛債権担保融資を利用するには、厳しい審査を通過する必要があります。審査では、売掛債権が実際に存在するか、売掛先との取引が正常に行われているか、また信用情報機関での過去から現在の借入状況が正常かどうかを確認されます。信用情報機関には過去の借入の返済遅延や未払い履歴も記録されており、これらが審査結果に影響を与えることがあります。

一方、ファクタリングの審査では、売掛債権そのものが重視されるため、売掛債権に問題がなければ、創業1年目の企業や赤字決算の企業でも利用することが可能です。

審査スピード

売掛債権担保融資の申込みから入金までには、最短で1週間、遅い場合は2か月ほどかかります。金融機関は決められた手順に従って審査を進めるため、金融機関との関係が構築できている場合を除き、即日融資はできないと思っていた方がいいでしょう。

一方、ファクタリングでは、多くの会社が最短即日の入金に対応しているため、資金調達を急ぐ場合に有効な手段となります。

会計処理

売掛債権担保融資は、借入金（負債）として計上し、定期的に残高を金融機関へ報告する義務があります。

一方、ファクタリングは融資ではないため、借入金として計上する必要はなく、金融機関への報告も不要です。

※ファクタリングの会計処理のについては、以下の記事で解説しています。

まとめ