抵当権について
抵当権とは
抵当権とは、不動産を担保にしてお金を借りる際に設定される権利です。これは、金融機関(債権者)が融資を行う際に、借り手(債務者)が所有する不動産に対して設定されます。抵当権の設定により、債務者がローンの返済を滞った場合、債権者はその不動産を競売にかけて売却し、その代金から優先的に貸付金を回収することができます。法律上は、債務者は「抵当権設定者」、債権者は「抵当権者」と呼ばれます。
根抵当権との違い
抵当権は、特定の債権に結びつき、返済金額や返済期間が明確に定められており、元本が完済されると債権とともに消滅します。一方、根抵当権は債務者と債権者によって債権の範囲が定められます。設定された貸付の上限(極度額)内であれば、借入と返済を繰り返すことができ、元本が完済されても、双方の合意がなければ根抵当権は消滅しません。
抵当権の設定方法は?
どのような場面で行われるか
一般的には、以下のようなケースで抵当権を設定します。
- 住宅ローンを借りる、または借換えをする場合
- 事業資金を得るため不動産を担保に融資を受ける場合
- 住宅ローンが完済した不動産を売却する場合、または相続する場合
- マンションやアパートを購入し、不動産投資をする場合
どのような方法で行うのか
抵当権の設定手続きは通常、司法書士へ依頼します。司法書士に依頼することで手続きがスムーズに進行しますが、その際には司法書士に報酬が支払われます。一方、自分で手続きを行う場合は、登録免許税として「融資金額×0.4%」を納める必要があります。例えば、1,000万円の融資を受ける場合、登録免許税として4万円がかかります。
どのような書類が必要になるのか
一般的には、以下の書類を用意する必要があります。
- 抵当権設定契約書
- 不動産の権利証
- 申請人の印鑑証明書
- 不動産所有者の実印
抵当権を設定するメリット・デメリット
メリット
- 担保として不動産を提供しつつ、住み続けることができる
- 完済後には抵当権を抹消でき、新たな融資を受けることができる
- 返済不能時は、金融機関は抵当物件を売却しその代金で債務を回収できる
デメリット
- 返済が滞ると競売によって所有権を失うリスクがある
- 住宅を売却しにくくなる恐れがある
- 手続きの時間と費用がかかる
このように、抵当権設定には住み続けながら返済できるメリットや金融機関の安全性などの利点がありますが、所有権を失うリスクや手続きのコストがかかるといったデメリットも存在します。
まとめ
抵当権は、住宅購入時の住宅ローン以外にも、不動産担保ローン利用時に設定されます。不動産担保ローンは、不動産を担保に金融機関から資金を調達するもので、担保とする不動産の価値によって融資金額が決まります。金融機関は、融資を行う際に担保となる不動産に対して抵当権を設定します。この方式により、無担保の融資よりも高額な金額を低金利で受けられるというメリットがあります。しかし、担保となる不動産に既に抵当権が設定されている場合、金融機関によっては融資を行わないこともあるため、複数の金融機関での検討をおすすめします。